滑走路を颯爽と横並びで歩く、斬新なオープニング。ハードボイルド『Gメン’75』。熱い心を強い意志でつつんだ人間たち。刑事ドラマの金字塔『Gメン’75』(TBS系)の初回放送から50年。
「Gメン’75」は、そのタイトル通り、1975年(昭和50年)5月に放送が開始。7年間でシリーズ全エピソード355話が放送され、最高視聴率32.2%を記録した。「Gメン」とはFBI捜査官を指す俗語で、本作は、警視庁から独立した特別潜入捜査官を総称しており、黒木警視(丹波哲郎/演)を筆頭に、原田大二郎、倉田保昭、岡本富士太、藤田美保子、藤木悠、夏木陽介が初期メンバーとして活躍した。ドラマはたちまち人気が上昇していく。
ちょっと大人なTBS土曜夜9時ゴールデンタイム枠では、1968年スタート「キイハンター」が5年、続く「アイフル大作戦」「バーディー大作戦」が1年ずつ、放送された。これら3作品は、東映プロデューサー近藤照男が務め、メインキャストに丹波哲郎が名を連ねていた。「キイハンター」は、当初2年はモノクロ放送、3年目カラー放送開始となる。千葉真一が魅せる超人的な派手なアクションシーン、多彩な人気俳優レギュラー陣のチームワーク、そして同じ時代の他のお茶の間テレビドラマをはるかに凌駕する圧倒的スケール感、本格サスペンスから社会派ドラマ、ホラー、コメディなど毎回のようにアプローチを変えていくことで、視聴者の心をつかみ、昭和40年代を代表する大ヒット作となる。
近藤照男プロデューサーは、一連の作品群を製作するにあたり、制作ブレーンに深作欣二と佐藤純彌を監督に据えた。3作品、合計7年間も続いたTBS土曜夜9時のアクションドラマ枠は、8年目に入るところで大幅に方針転換する。「アイフル大作戦」「バーディー大作戦」と続いた探偵ものから、ハードボイルドをド前面に押し出した刑事ドラマに取り組むこと。基本設定は脚本家の高久進がまとめ、メインライターを兼務。キャストは「バーディー大作戦」から続投の丹波哲郎、倉田保昭、岡本富士太、藤木悠に加え、原田大二郎、藤田美保子、夏木陽介の参入とした。
7名の主要レギュラー陣が滑走路を並んで歩くオープニング映像は、本作のイメージを決定づけた素晴らしい演出で、いまだ、これを超えるインパクトを持ったタイトルバックは存在しないと言っても、過言ではない。その衝撃は結果的に、7年間、全355話というロングラン放映となる。まさに昭和50年代を代表するヒット作だ。平成、令和とは異なり、昭和の刑事ドラマは、基本的に中断することがなく、また基本的に特番編成などもないため、毎週オンエアがあり、年間50本以上が製作されることが当たり前で、それゆえに映画化されることもなく経過した。幾多のドラマ作品が生まれては消えていった中で、昭和40年代以降にスタートした刑事ドラマで、「Gメン’75」は「太陽にほえろ!」「特捜最前線」に続く長寿番組として、その名を歴史に残しているのだ。
記念すべき第1話「エアポート捜査線」では、麻薬の密輸事件をめぐり、警視庁の腕利きたちを選定、捜査一課、捜査三課、捜査四課、外事課の刑事たちが活躍。黒木警視(丹波哲郎/演)が、この事件の捜査に関わった者たちを一堂に集め、「特別潜入捜査班」を編成しました。この「特別潜入捜査班」こそが、いわゆる「Gメン」である。
驚くべきことに、「Gメン’75」という作品が目指す世界観は、この第1話で、ほぼ確立されていた。初期はわずかに「キイハンター」的なテイストが残るエピソードも存在したが、第1話で示した脚本の方向性が、「Gメン’75」のベースになる土台なのだと後にわかる。その意味で、エピソードを確実にチェックしておくべきは第4話「殺し屋刑事」。放送3年目からレギュラーとなり、丹波哲郎らと並び立つ「Gメン’75」を代表する顔となる、若林豪が別役でゲスト出演した回で、こちらも第1話「エアポート捜査線」と並んで、初期『Gメン’75」の傑作と認識している。
初期「Gメン’75」の最重要キャラクターといえば、原田大二郎が演じた関屋警部補と、藤田美保子が演じた響圭子刑事。Gメンの情熱派として、あらゆる困難を帯びた事件に果敢に立ち向かっていく関屋警部補は、関屋警部補役は当たりとなる。第33話「関屋警部補・殉職」で衝撃の殉職という異例の早期降板となったのが残念で仕方がない。もしも、「初期Gメン」に関屋がいなかったら、おそらく『Gメン’75』は良いスタートダッシュをきれなかったのではないだろうか。関屋警部補として生きた日々のことを、熱く語る原田大二郎。響圭子刑事は、初代「女性Gメン」であり、日本の刑事ドラマにおいて、初めて、主役級の扱いを得た「女刑事」だ。この設定は、1975年が「国際婦人年」だったことと無関係ではないはずだ。「キイハンター」では野際陽子、「アイフル大作戦」で小川真由美、「Gメン’75」の源流となる作品群で美しい女優陣が、ドラマに花を添えて存在感を示していたことが、少なからず影響していたと考えられる。
「Gメン’75」について語り始めるとキリがない。「Gメン’75」全355話、視聴した人間の数だけ「捉え方」がある、そう思わずにいられない。

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