警察庁から依頼された事件の解決が、設立の条件だ。スペシャリスト捜査グループ「Gメン75」設立を賭けてアタックする指令は、山越えロッククライミング牧場に展開する痛快アクション。響圭子刑事(藤田美保子/演)渾身の乗馬アクションは必見だ。
脚本:小山内美江子(3年B組金八先生/有名脚本家)。まだGメン本部結成前の本作は、牧場アクション大活劇。国際的な銀行襲撃集団に結びつく銀行設計技術者の囚人の柾木(大門正明/演)と、潜入捜査で囚人に扮した関屋警部補(原田大二郎/演)の、手錠でつながれて離れられない、スリル満点の脱獄劇、スリリングな場面転換、逃避行。命を懸けた山岳アクションは、山梨県都留市、西桂町、富士河口湖町の境界にある標高1,785 mの山、三つ峠付近でのロケを敢行。放映日1975年5月31日。
あらすじ 服役中の男からナショナル銀行襲撃事件の真相を聞き出すべく、捜査一課警部補・関屋一郎は、囚人として刑務所に潜入。
この捜査には裏があり、警察庁から密命を受けての極秘捜査。銀行強盗団の背後にある国際犯罪組織の摘発である。関屋の他、警視庁捜査一課から津坂刑事、捜査三課から山田刑事、捜査四課から草野刑事、それぞれが囚人護送車に乗り込む囚人、護送係官に扮して潜入捜査を開始。逃避行の過程で逃げ込んだ山の中では、外事課欧米担当の響圭子刑事が、山小屋でライフルと食料を餌にちらつかせ明るく2人の男を手玉にとろうとする金目当てのおてんば娘、それぞれが受け持つ場所に待機。捜査一課・黒木警視の指揮の下で潜入捜査作戦を開始。関屋警部補は同房の柾木に脱獄を持ち掛けて、様子を探る。
この事件を解決すれば、警視庁から独立したスペシャリスト捜査機関「Gメン」設立が認められる。マフィアが絡んだ国際麻薬密輸事件に現職の警官が絡んでいた不祥事が明るみに出て、国民の意冷ややかな視線が警視庁に注がれており、対国民向けに「警察の中の警察」を組織しようという試みだ。
囚人と共に手錠につながれたまま脱獄に成功した関屋警部補は、逃亡のいきさつを知り、お互いを手錠で繋いだまま柾木の故郷の牧場へと向う。そこには仲間の凶悪なギャングが、母親を人質にしながら、金のありかをはかせようと虎視眈々と待ち構えていた。
関屋と柾木は牧場までのルートで人目につかない山岳地帯を行くが、山小屋で休んでいたところライフルを構えた女が現れ、取引を持ち掛けてきた。
滑走路「横並び」にいる小田切警視は今回のエピソードには登場せず。
警察の中の警察「Gメン」設立の条件は、本編では語られず第1話の予告編、第2話終盤ラストの黒木警視の独白セリフ「よくやった。今日からここが俺たちの本部だ。腐った奴らのハラワタを思う存分引きずり出してやる命知らずどもの本拠だ」のみ。優しい面、厳しい面をあわせ持ち、部下を見守る丹波哲郎の演技力は本当に素晴らしい。
じつは、「キイハンター」同様、「企画書」や「ノベルズ(Gメン75全2巻ペップ出版)」を読まないと伝わらないわからない構成になってる点が非常に残念。芥川隆行(ナレーション担当)または黒木警視(丹波哲郎/演)のナレーションなど状況経緯を説明する演出があると良い。
手錠で繋がれただ逃亡劇
キイハンター第23話「必死の逃亡1:3」(1968年9月7日)
キイハンター第225話「大空のギャング現金強奪作戦」(1972年7月15日)
Gメン75第2話「散歩する囚人護送車」(本作)
Gメン75第194話「銀嶺を行く網走脱獄囚」(1979年2月10日)
Gメン82第13話「赤いサソリVS香港少林寺」(1983年1月23日)
Gメン75スペシャル続編スピンオフ「帰ってきた若き獅子たち」(2000年10月23日)
ノベルズに記載されているGメン結成についての説明箇所 Gメン75誕生!スペシャリスト捜査グループ設立の過程 昭和五十年五月、暗い不況に喘ぐ日本人の心をさらに暗澹とさせるような事件が起きた。拳銃密輸事件の主役が現職の警視庁警部であり、その手先となって働いていたのがマフィアから送り込まれた”プロの殺し屋”だったのである。 (略) ”警察内部の腐敗アメリカ並みに?” マスコミの一斉攻撃が警察に向かって放たれたのである。新聞の見出しが物語るように一般国民の受けた衝撃以上に警察内部の同様は激しかった。(略) 出典:Gメン75ノベルズ1巻・まえがき 中略。
撮影 下村和夫 (1975年度日本テレフィルム技術賞・受賞)
監督 山口和彦
主役 関屋警部補
出演 黒木警視、関屋警部補、草野刑事、津坂刑事、響刑事、山田刑事
ゲスト 大門正明、大塚道子、五味龍太郎、上野山功一、山田光一、高島志敏、苅谷俊介、長尾信、泉福之助、小笠原剛、亀山達也。
当時の背景 冒険、人畜無害、せめて土曜日の夜ぐらい、何かが起こってほしい。その何かがなんであろうともと期待しながら結局は何も起こらない。だが、フィクションの世界のヒーローやヒロインたちの冒険を、疑似体験することだけはできる。「キイハンター」にはじまったこの時間帯、冒険好きだが、冒険にめぐりあえない善良な市民たちをうまく取り込んだ。さて、「Gメン75」。丹波哲郎をボスに据え、紅一点の藤田美保子まで、いずれもひとクセありそうな連中が、職業とはいえ、何を好んで火中の栗を拾おうとするのか。弾むようなテンポ、流れるような画面は、そんな疑問を感じる隙もあたえない。今回のGメンの相手は、連続銀行強盗団。後半の山中での筋の運びなどは、往年の「銀嶺の果て」(黒沢明脚本)を思わせる。カメラアングル、カーアクション、モノレールジャック(第1話「エアポート捜査線」)など制作テクニックは、仕掛花火のような娯楽作品として楽しめる。

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