『Gメン’75』第2話 散歩する囚人護送車

警察庁から依頼された事件の解決が、設立の条件だ。スペシャリスト捜査グループ「Gメン75」設立を賭けてアタックする指令は、山越えロッククライミング牧場に展開する痛快アクション。響圭子刑事(藤田美保子/演)渾身の乗馬アクションは必見だ。

冒険をどうぞ。ただし、人畜無害で安全は確実。せめて土曜日の夜ぐらい、何かが起こってほしい(当時土曜21時放映)。ひそかにワクワク期待しながら結局は何も起こらない日常だが、完全に「フィクション」の世界の、起こり得ない冒険を疑似体験することだけはできる。それが「Gメン75」である。ひとクセ有りそうな役柄の、男と女、職業とはいえ、何を好んで火中の栗を拾おうとするのか。流れるような画面カメラワークにアップテンポな脚本と演出、そんな疑問を感じるスキさえ与えない。本作、Gメンの相手は、連続銀行強盗団。後半の山中での経緯、往年の「銀嶺の果て」(黒沢明脚本、谷口千吉監督)を思わせるものがある。

カメラワーク、カーチェイスアクション、公共モノレールのハイジャック(第1話)など制作テクニックは、この種のものとしてイイ線だ。仕掛花火よろしく大衆アクション娯楽作品として純粋に楽しむ。

1975年から放送された伝説的な刑事ドラマ『Gメン’75』の第2話このエピソードは、脚本を小山内美江子(『3年B組金八先生』などで有名)が担当し、初期『Gメン’75』のハードボイルドで重厚な作風を象徴する回の一つ。

まだGメン本部結成前の本作は、牧場アクション大活劇。国際的な銀行襲撃集団に結びつく銀行設計技術者の囚人の柾木(大門正明/演)と、潜入捜査で囚人に扮した関屋警部補(原田大二郎/演)の一蓮托生で手錠につながれたスリル満点の脱獄劇、アップテンポな場面転換、劇的、命がけ、逃避行。

ロケ地は、山梨県都留市、西桂町、富士河口湖町の境界にある標高1,785 m山。さらに、三つ峠付近で敢行されている。

放映日1975年5月31日。

作品名Gメン75 

サブタイトル 第2話「散歩する囚人護送車」

主なキャスト (主要キャスト)丹波哲郎、原田大二郎、倉田保昭、岡本富士太、藤田美保子 (以下ゲスト)大門正明、大塚道子、五味龍太郎、上野山功一、山田光一、高島志敏、長尾信、泉福之助、小笠原剛、苅谷俊介、亀山達也。(ナレーター)芥川隆行

撮影 下村和夫 (1975年度 日本テレフィルム技術賞)

監督 山口和彦

主役 関屋警部補

出演 黒木警視、関屋警部補、草野刑事、津坂刑事、響刑事、山田刑事

あらすじ 囚人を移送中の護送車が「散歩」するかのようにあちこちへ寄り道を強いられる。その道中、事件に巻き込まれる。当時の流行サスペンス展開が描かれている。

冒頭。強盗容疑で留置所に拘留されているひとりの囚人。その囚人が、護送中、もう一人の囚人とともに脱走する。もう一人とは、なんと関屋一郎(関屋警部補)強盗事件の潜入捜査で、犯人の信頼を勝ち取り凶悪強盗団の首謀者検挙する計画だ。

服役中の男からナショナル銀行襲撃事件の真相を聞き出すべく、捜査一課警部補・関屋一郎は、囚人として刑務所に潜入。この捜査には裏があり、警察庁から密命を受けての極秘捜査だ。銀行強盗団の背後にある国際犯罪組織の摘発。

関屋警部補の他に、警視庁捜査一課から津坂刑事、捜査三課から山田刑事、捜査四課から草野刑事、それぞれが囚人護送車に乗り込む囚人、護送係官に扮して潜入捜査を開始していた。逃避行の過程で逃げ込んだ山の中では、外事課欧米担当の響圭子刑事が、山小屋でライフルと食料を餌にちらつかせ明るく2人の男を手玉にとろうとする金目当てのおてんば娘を装う。それぞれが受け持つ場所に待機。捜査一課・黒木警視の指揮の下、大胆不敵な潜入捜査作戦を開始。

関屋警部補は同房の柾木に脱獄を持ち掛け、様子を探る。関屋警部補(演/原田 大二郎)が「殺人容疑の関屋一郎」として、銀行強盗のひとり・柾木シンヤ(演/大門 正明)と共に囚人護送車から逃亡し強盗一味を追求。護送車には草野刑事(演/倉田 保昭・左端)と津坂刑事(演/岡本 富士太)も「容疑者」役で同乗。山田刑事(演/藤木 悠)は護送車を運転する「看守」役。

柾木と関屋は「仮面ライダー」でおなじみの場所などを命をかけて逃走した。響刑事(演/藤田 美保子)は「2人の逃亡補助」役としてガソリンスタンドで車を盗ませたり、山小屋に食事を用意していたり。ちなみに、メニューは、今は無き「ククレジャワカレー」という懐かしの品。

そして最終決戦。

エンディングクレジットのゲスト出演者。五味 龍太郎→強盗団の首謀者。苅谷 俊介→強盗No.2。上野山 功一→強盗No.3。亀山 達也→No.4。大塚 道子→柾木の母で目が不自由。強盗団4名は、母親を人質にして柾木の牧場に居座るという狡猾な連中だ。柾木は銀行の建設時に設計者で実行グループを手引きさせられたが、ここまでの行動力を振り返ると、とても堅気とは思えない。東都拘置所の看守たちは以下の通り。山田 光一、泉 福之助、長尾 信。山田と泉は護送車に同乗した役柄。詳細不明ゲスト出演者は、クレジット順に、高鳥 志敏、小笠原 剛。

足音立てずに忍び寄るマフィアの魔手、徐々に兇悪さを増すテロ事件。人間の心のダークサイドが生む犯罪。多様化し増加の一途をたどる犯罪に対処すべく、警視庁警視・黒木哲也は精鋭メンバーを招集。特別潜入捜査班GOVERMENTMEN=GMENを結成した。

無事、任務を終え帰還したメンバー達に、黒木警視のモノローグ「よくやった。今日からここが俺たちの本部だ。どこにも属さず縛られず、思う存分腐ったやつらのハラワタを引きずり出してやる。命知らずどもの本拠だ。」優しい面、厳しい面を持ち合わせた丹波哲郎の演技力。初登場の本部から黒木警視(演/丹波 哲郎)が各員に指令を与える、興味深いのはラストだ。

なお、幻の台本には、響刑事(演/藤田美保子)と黒木警視の、Gメン本部内での語らいシーンがあり「警視庁から独立したスペシャリスト捜査グループを設立できるか、一度限りの捜査で設立できないまま終わるか」という趣旨の台詞が準備されていた。

台本上では、かなり「キイハンター」ばりのフランクなやりとりが表記されているが、本作では全て削除され放映された。台本上では響刑事が山小屋で関屋警部補と柾木を先回りして待機しているシーンの補足として、ヘリコプターを使ったと記されているが、台本でも本編でも、ヘリの旋回シーンとかは用意されていない。終始「キイハンター」や「バーディー大作戦」の牧場アクションを彷彿させるような、肩肘張らない痛快なアクションが堪能できるエンタメ作風。(放送期間:1975/05/24~1982/04/04、全355回)

放送期間 1975/05/31~1975/05/31

キー局 TBS

放送曜日 土曜日

放送時間 21:00-21:55

連続/単発 連続テレビドラマ

脚本 小山内美江子

構成 深作欣二  佐藤純弥

プロデューサー 近藤照男  原弘男(TBS)

主な演出 監督:山口和彦  助監督:布施修  記録:山内康代

局系列 JNN系列

制作会社 東映  東京撮影所  TBS

制作 制作主任:川嶋 富雄  演技事務:荒川  洋

音楽 菊池俊輔  選曲:武田正彦

主題歌 しまざき由理「面影 Gメン’75のテーマ」  作詩:佐藤純弥  作曲:菊池俊輔

撮影技術 下村和夫、(照明:渡辺俊亮)(録音:岩田広一)(編集:飯塚勝)(現像:東映化学)

美術 大晃商会

ミッションこの事件を解決すれば、警視庁から独立したスペシャリスト捜査機関「Gメン」設立が認められるという仕組み。マフィアが絡んだ国際麻薬密輸事件に現職の警官が絡んでいた不祥事が明るみに出て、国民の意冷ややかな視線が警視庁に注がれており、対国民向けに「警察の中の警察」を組織しようという試みだ。

見どころGメン75誕生。スペシャリスト捜査グループ設立の過程。昭和55年5月、暗い不況に喘ぐ日本人の心をさらに暗澹とさせるような事件が起きた。先の拳銃密輸事件の主役が現職の警視庁警部であり、その「手先がマフィアから送り込まれたプロの殺し屋」という顛末。この第1話の事件が、世に大きく報道され、「警察内部の腐敗アメリカ並みに?」マスコミの集中砲火は、警察幹部の危機感をあおる。新聞の見出しが躍り、国民の受けた衝撃以上に警察内部の動揺は著しく、対応に苦慮したのだ。

所感 囚人と共に手錠につながれたまま脱獄に成功した関屋警部補は、逃亡のいきさつを知り、お互いを手錠で繋いだまま柾木の故郷の牧場へと向う。そこには仲間の凶悪なギャングが、母親を人質にしながら、金のありかをはかせようと虎視眈々と待ち構えていた。関屋と柾木は牧場までのルートで人目につかない山岳地帯を行くが、山小屋で休んでいたところライフルを構えた女が現れ、取引を持ち掛けてきた。滑走路「横並び」にいる小田切警視は今回のエピソードには登場せず。警察の中の警察「Gメン」設立の条件は、本編では語られず第1話の予告編、第2話終盤ラストの黒木警視の独白セリフ「よくやった。今日からここが俺たちの本部だ。腐った奴らのハラワタを思う存分引きずり出してやる命知らずどもの本拠だ」のみ。優しい面、厳しい面をあわせ持ち、部下を見守る丹波哲郎の演技力は本当に素晴らしく輝き、今も色褪せない。じつは、「キイハンター」同様、原作を読まないと伝わらないわからない構成になってる点が非常に残念。芥川隆行(ナレーション担当)または黒木警視(丹波哲郎/演)のナレーションなど状況経緯を説明する演出があると良い。

余談 手錠で繋がれただ逃亡劇 一覧   

キイハンター第23話「必死の逃亡1:3」(1968年9月7日)

キイハンター第225話「大空のギャング現金強奪作戦」(1972年7月15日)

Gメン75第2話「散歩する囚人護送車」(本作)

Gメン75第194話「銀嶺を行く網走脱獄囚」(1979年2月10日)

Gメン82第13話「赤いサソリVS香港少林寺」(1983年1月23日)

Gメン75スペシャル続編スピンオフ「帰ってきた若き獅子たち」(2000年10月23日)

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